1. なぜCPU選びは「用途別」に考えるべきか

CPUはPCの頭脳。ゲームのフレームレート、動画の書き出し速度、3DCGレンダリング、AI生成、同時配信の安定性──ぜんぶCPU性能と相性で変わります。
ただし重要なのは「一番やりたいことに最適なCPUは違う」ということ。
- FPSゲームだけやる人が買うべきCPUと
- 4K動画編集や3DCGレンダを回す人が買うべきCPUは
まったく別。
さらに、CPUは“単体スペック”だけで選ぶと危険です。
理由は2つあります。
- ソケット(マザーボード規格)が合わないと物理的に刺さらない
- ハイエンドCPUほど“冷却コスト”まで含めないと性能が出ない
この記事ではこの2点も含めて、2025年のおすすめCPUをわかりやすく整理します。
2. 2025年最新CPU性能比較表(ソケット・冷却・価格つき)

下の表は主要モデルを「コア/スレッド数・TDP・必要な冷却・マザーボード規格(ソケット)・目安価格・向いてる用途」までまとめたものです。
これさえあれば、
「どのマザボを買えばいいの?」
「どのクーラーが必要なの?」
「いくらくらい見とけばいいの?」
まで一気に判断できます。
✅ AM5=AMDの現行ソケット
✅ LGA1700=Intel第12〜14世代向けソケット
(※価格帯は執筆時点の一般的な市場目安。実売はセールや在庫で上下します)
| CPU名 | コア / スレッド | ソケット | TDP(定格) | 推奨冷却 | 価格目安 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| AMD Ryzen 9 9950X3D | 16C / 32T | AM5 | 170W | 簡易水冷(240mm以上推奨) | 約110,000円 | 動画編集・3DCG・AI生成 |
| AMD Ryzen 7 9800X3D | 8C / 16T | AM5 | 120W | 高性能空冷 または 簡易水冷 | 約73,000円 | ゲーミング最強 |
| Intel Core i9-14900KF | 24C / 32T(P+Eコア構成) | LGA1700 | 125W(最大約250W) | 簡易水冷(360mm必須クラス) | 約85,000円 | ハイエンド汎用・全用途 |
| Intel Core i7-14700K | 20C / 28T | LGA1700 | 125W(最大約250W) | 簡易水冷(240mm以上推奨) | 約63,000円 | ゲーム+配信バランス |
| AMD Ryzen 5 7600 | 6C / 12T | AM5 | 65W | 付属クーラー または 高性能空冷 | 約16,000円 | 入門コスパ・省電力 |
※価格は2025年10月時点の一般的な目安。時期・セール・在庫により変動します。
※ソケットが異なるとマザーボードを流用できません(AM5 / LGA1700など)。
※Core i7 / i9 は高発熱のため、高性能クーラー(240〜360mm簡易水冷)を推奨します。
3.用途別おすすめCPUランキング(2025年版)

3-1. ゲーミング特化ならこれを選べ
🥇 Ryzen 7 9800X3D
- 超高fpsを狙うための“ゲーミング専用兵器”。
- 3D V-Cacheにより、特にCPU依存のFPSタイトルで圧倒的。
- RTX 5080/5090級とも相性が良い。
- 消費電力と発熱はそれなりにあるので、できればそこそこ強い空冷 or 簡易水冷を用意したい。
🥈 Intel Core i7-14700K
- ゲームだけじゃなく“同時に配信”もしたい人向け。
- コア数が多いので、配信ソフト+ブラウザ+ボイスチャット+ゲームを同時に走らせても安定。
- ただし瞬間消費電力は高いので、240mm以上の簡易水冷は実質ほぼ必須。
🥉 Ryzen 7 9700X3D(型落ち枠)
- 価格が落ちてきた世代のX3Dモデル。
- 「できるだけ安く、でも240fps以上で撃ち合いたい」人に向く。
- 次世代GPUまで視野に入れるなら、9800X3Dがより長く戦える。
3-2. 動画編集・3DCG・AI用途で最速を狙うなら
🥇 Ryzen 9 9950X3D
- 16コア/32スレッドでマルチスレッド処理が鬼のように速い。
- Premiereで4K以上のマルチカメラ編集、Blenderのレンダ、AI生成ワークロードなど、“待ち時間=お金”の人向け。
- 簡易水冷240mm以上は必須クラス。
🥈 Intel Core i9-14900KF
- ほぼ全ジャンルに高水準で対応できる万能ハイエンド。
- ただし高負荷時は250W級まで一気に電力を引くので、360mmクラスの簡易水冷や高性能ケースエアフローが前提になる。
- ここで冷却をケチると「性能はあるのに出ない」という最悪パターンになる。
🥉 Ryzen 9 9900X
- 9950X3Dほどではないが、コア数・マルチ性能はかなり高い。
- “プロ級までは行かないけど、本気で編集もやるYouTuber”ポジションには十分。
3-3. ゲーム+配信の両立
「プレイ映像をOBSで垂れ流したい」「Twitch配信を安定させたい」系の人向け。
🥇 Intel Core i7-14700K
- この用途では一番バランスがいい。
- ゲームと配信を同時に走らせても、同時に裏で録画・エンコードもこなせる。
- ただし消費電力は正直えぐいので240mm以上の簡易水冷推奨。
- “空冷で静かに”はちょっと厳しい。
🥈 Ryzen 7 9800X3D
- ゲームfpsそのものはi7より上を叩き出すタイトルが多い。
- ただし「ゲーム+重いマルチタスク」の同時実行は、i7の多コア構成のほうが余裕ある場面もある。
- 「配信は軽め」「とにかく撃ち勝ちたい」ならこっち。
🥉 Core i5-14600K
- コストを抑えたい配信初心者が狙いやすい位置。
- とはいえ負荷を上げると温度・騒音はそれなりに上がるので、冷却はケチらないほうがいい。
3-4. コスパ・省電力・ライトゲーミング
🥇 Ryzen 5 7600
- 価格が安いのに素直に強い。
- RTX 4060 / RTX 4070クラスと組み合わせると、フルHD~WQHDの普通のPCゲームならほぼ不満なし。
- 65Wクラスなので発熱も比較的おとなしく、付属クーラー運用も可能。
- “初めて自作”“初めてBTO”にとっての正解枠。
🥈 Core i5-13500
- ミドルクラスとして配信や簡単な編集作業まで触れていきたい人用。
- 値段はそこまで高くないのに、コア数の多さで普段使いマルチタスクがかなり快適。
🥉 Ryzen 7 9700(無印)
- “GPUにお金を回したいけどCPUで足を引っ張りたくはない”人向け。
- 素直な8コアで、長く使える下地になる。
4. CPUとGPUの組み合わせ目安

「どのGPUと組むべき?」で悩む人はこの表を基準にしてOK。
| GPUクラス | 相性の良いCPU | コメント |
|---|---|---|
| RTX 5090 / RTX 5080級 | Ryzen 7 9800X3D / Core i9-14900KF |
4K高画質や240Hz超の高fpsを狙う層向け。 CPUも高発熱のため360mm簡易水冷必須クラス。 「ゲームも編集も全振りしたい」人に最適。 |
| RTX 4080 / RTX 4070 Ti級 | Core i7-14700K / Ryzen 7 9700X3D |
WQHD・高リフレッシュ帯に最適。 配信や動画編集も快適にこなせるバランス型構成。 |
| RTX 4070 / RTX 4060 Ti級 | Ryzen 5 7600 / Core i5-13500 |
フルHD~WQHDの主流ゲーマー向け。 ボトルネックが少なく、静音かつコスパ◎の構成。 |
| RTX 4060 / RX 7600級 | Ryzen 5 7500F / Core i5-13400F |
予算を抑えたエントリー構成。 144Hzモニター運用でも十分対応可能。 |
| GTX 1660 SUPER / RTX 3050(中古含む) | Ryzen 5 5600 / Core i5-12400F |
ライトゲーマー・中古構成向け。 eスポーツ系タイトルなら快適、最新3Dは設定調整が必要。 |
※GPUとCPUのバランスが崩れると性能を発揮できません。
※高負荷な4K配信・AI処理を行う場合は、上位CPU+強力な冷却を推奨します。
5. ベンチマーク指標のざっくり比較(目安)
| テスト項目 | Ryzen 7 9800X3D | Core i7-14700K | Ryzen 9 9950X3D |
|---|---|---|---|
| Cinebench系マルチ性能 | 高い(8C/16Tとして優秀) | かなり高い(20C/28T) | ぶっちぎり(16C/32T最上位級) |
| Valorant(1080p低設定の平均fps) | 超高い(CPUボトルネック最小) | 高い(配信同時でも安定) | 高い(ただしゲーミング専用最適ではない) |
| Premiere Pro書き出し効率 | 十分速い | 速い | 最速クラス |
| OBS配信しながらのゲーム安定性 | ○(画質次第) | ◎(総合安定) | ◎(余裕で同時並行) |
※テスト値は複数レビューサイトの平均を参考にした目安です。
※冷却やメモリ構成により実測値は前後します。
6. まとめ:2025年は “性能そのもの” より “土台” を見る時代
- ゲームだけするなら
→ Ryzen 7 9800X3D(AM5プラットフォーム) - ゲーム+配信(OBS同時起動など)もやりたいなら
→ Core i7-14700K(LGA1700)+しっかりした簡易水冷 - 動画編集・3DCG・AI生成まで本気でやるなら
→ Ryzen 9 9950X3D(AM5)
→ ただし240mm~360mmクラスの簡易水冷は前提コストとして考えること - 予算を抑えたい・初めての自作/BTOなら
→ Ryzen 5 7600(AM5)
→ マザーボードも長く使い回しやすいので、あとから上位CPUに乗せ換える道もある
特に意識してほしいのはここ👇
CPUはパーツ単体じゃなく「ソケット(マザボ世代)+冷却」まで含めたセットで選ぶもの。